ちょっと前回の補足を込めて。
磁石について。

 
とりあえず、
頭の中に棒磁石を思い出してみましょう。
（N-------------S　と表記しておきます）

N極とS極が両端にあるアレですね。

この磁石を二つの極の真ん中で切り分けてみましょう。

すると、
N極だけの磁石と、S極だけの磁石に・・・
わかれるわけではないんです。
（NNNNNN SSSSSSSS　→こうはならない）

N極とS極をもつ棒磁石が、２つできるのです。
（ N----S N----S ）

この磁石をさらに半分にすれば、長さが1/4の磁石ができ、
さらに半分、さらに半分、、、

とどんどん分けていっても、
どんなに分けていっても、
N極とS極をもつ磁石ができあがります。

（ちょっと踏み込んだ話：
このN極とS極をもっている磁石のことを、
極が二つある、ということで、「双極子」とよんだりします。
この双極子は、磁石を原子サイズまで分解しても、
原子核と電子に分解しても、
もっと細かくしても、双極子になるようです。

この双極子に対して、
N極だけ、S極だけの磁石のことを単極子（モノポール）というのですが、
これが存在するかどうかはまだよくわかっていないようです。
理論的には存在するけど、実験では見つかってないとか。
このあたりに興味がある方は、いろいろ参考になる本も
あると思いますので、そちらを探してみてください。
）


本筋に戻りますが、
磁石はどんなに細かくしても磁石になる、ということでした。

これは、逆に言えば、
磁石は、小さい磁石が集まってできたもの、ということになります。

もっときちんというと、
磁石は、小さい磁石が「きちんと整列して」集まっているもの、
なんです。

「きちんと整列して」とはどういうことかというと、
小さい磁石にも、一つ一つ「向き」があり、
その向きが、みんなそろうように並んでいる
ということです。
（向きとは、例えば S 極からN 極へ
S → N　と矢印をひいた、その矢印の方向。）

小さな磁石たちが、みんなで同じ方向を向くので、
結果として大きな磁石になっているわけです。


わかりにくい例えとして、学校の集会を思い出してみてください。
整列のかけ声とか、先生に怒られたりとかで、
キレイに朝礼台を向いて全校生徒が並んでいる状態が、
磁石の状態です。


逆に、小さな磁石たちが、みんな勝手に好きな方向をむいてしまったら
どうなるでしょう？

学校の集会の例でいうと、
もう、担任の先生も校長先生も無視して、
周りの生徒と楽しくおしゃべりをして盛り上がっている状態です。
無秩序ってやつです。

こんな無秩序な状態だと、
小さい磁石たちもそれぞれ好きな方を向いてしまい、
お互いに力を打ち消し合って、
全体として、磁石としての働きを（ほとんど）なくしてしまいます。

こうなっている状態が、
鉄の鍋であったり、針であったり、クリップであったり、
よく目にする、手に取る、金属なわけです。


「この方位磁石、北をささなくなった」
と、故障疑惑をかけられた磁石は、

もともとは小さい磁石がきちんと同じ方向を向いていたのが、
外からいろいろ力を加えられて、
少しずつ別々の方向を向いてしまったために
磁石としての力が弱くなってしまったのです。
普通の金属に戻ってしまうところなんです。


自分以外の磁石や、磁石をつかった製品に近づけるなどすると、
まるで校庭に野良犬が紛れ込んできたり、
先生の人工の髪がずれてきたときのように、
ちょっとずつ整列状態が乱れてしまいます。

また、
磁石自身を加熱してみると、
炎天下の校長先生の長話のときのように、
「整列ってなに？」という状況に陥ってしまいます。


このような、
金属や、だめになった磁石は、
小さな磁石の方向がバラバラになっているだけで、
その方向をそろえてあげれば、
磁石としての自覚を取り戻すのです。

そう、ダラダラした集会で突如発せられる、
竹刀をもったジャージ姿の先生の怒号の一声を、
金属にもかけてあげればいいんです。


実際には、
別の磁石をしばらくそばにくっつけておいたり、
こすりつけたりするわけです。

こするとき、むやみにゴシゴシやっても
小さな磁石たちはそろおうとはしません。
手前から奥にこすりつけたら、ずっと手前から奥にこすりつける。
右から左にこすりつけたなら、ずっと右から左にこすりつける。

こうして、
小さな磁石たちの向きをそろえることで、
全体としても、磁石として生まれ変わるわけです。


前回に引き続き、
長々とまとめきらずに失礼いたしました。

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[2回]